俳句事始め 四級

前項で9~5級まで書きました。

 

① 俳句事始め(四級)

専門家の前置き・・・

省略の美意識が根源となっている、生け花・茶・水墨画・能 のように日本文化は空間と省略の美で成り立っています。

俳句はその省略により 余韻、余情を招くことが出来ます。余韻、余情とは言葉から広がる情感の事です。 そのため主情は抑えて表現するように心掛けましょう。

なるべく使わない方が良いとされている形容詞があります。それは
 ・「かわいい」「美しい」「やさしい」「さびしい」「悲しい」「嬉しい」 などがあります。
このような言葉によって句からいろいろに広がっていくはずの感情が止まってしまいます。  全てを言い切らずに一句全体から感じさせる様に 心掛けましょう。

上記のかわいい・悲しい・寂しい、等の直接表現をしない事によって読者はかえって深く想いが広がります。

「つきすぎ」ないこと: ”つきすぎ ”とは一句の中でイメージの重なる言葉が複数入っていることです。
  例) 赤とんぼ夕焼け赤く染めて飛ぶ  
 「赤とんぼ」といえば「夕焼け」「赤く」の言葉が浮かびあがります これ等の言葉は「赤」のイメージそのものですね。  このような俳句は、「つきすぎですね」と批評されてしまいます。

また、省略の文学ですから「縁語」もできるだけ使わないで省略しましょう。 縁語とは、俳句の中ですぐ言葉の意味がつながって連想できてしまう言葉同士を指します。

 例) 雪といえば「消える、とける、降る」とかがすぐ頭に浮かびます。 
     船といえば「浮く、海」・・・  
     浜といえば「砂」・・・
     髪といえば「頭」・・・ 
     鼻といえば「顔」
というようなものを指します。

  縁語はなるべく使わないで片方を省略した方がより俳句らしくなります。

別の識者の説明もあります。 

つきすぎと離れすぎ

描写と季語を取り合わせた二物の句の場合、その句が成功するかどうかは、描写と季語の響き合いで決まります。

描写と季語は、近すぎず遠すぎず、ほどよい距離を持ち、その二つが響き合うことにより読み手に立体的なイメージをもたらすものを良しとしています。

一概には言えませんが、基本的には小さなものを描写したら大きな季語、生物を描写したら生物以外の季語、観念的な描写をしたら現実的な季語、など、描写と季語は対照的なものを取り合わせます。

例えば、部屋の中の描写に対して、部屋の中にある季語を取り上げると、一句がすべて部屋の中のこととなり、広がりがなくなってしまいます。だからと言って、まるで別の場所にある季語、例えば、描写している部屋は東京の真ん中にあるのに、季語として山の上のほうに咲く花を取り合わせたりすると、一句がバラバラになってしまいます。

≪つきすぎ≫ 良い例と悪い例

x 星冴ゆる風呂屋帰りの味噌ラーメン
x 桜湯や初めて結ひし日本髪
〇 初めての日本髪解く梅月夜
x みどり児の手相見てゐる春隣

≪はなれすぎ≫ 良い例と悪い例

x 猪や古都の夕雨田に畑に
〇 紙雛や古都の夕雨田に畑に
x 百日紅エンドロールの文字滲む


≪当たり前≫
x 月光や暗い夜道に一人立つ
x 春ともし揺りかごの影ゆらゆらと

又、100句作りましょう・・つきすぎの句もいくつか作ると”つきすぎ”という意味が判ってきます。

これは折に触れ読み返すための自分の為の覚書です。

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では早速はじめます。

1 白髪を染めもせで期(まつ)初雪や
2 赤い羽根付けて安心免罪符 
3 炊飯器おこげの模様や秋うらら  
4 夏の日の球児の胸に涙あり
5 赤とんぼ淋しくなるや養老院
6 廃校に忘れず寄るや赤とんぼ
7 赤とんぼ写真を撮れと花の先
8 相模川若鮎光りて水の中 
9 たぬきそば食えばふるさと思い出す 
10 七夕の飾りをせがむ稚児二人 
 
知識だけ増えてかえって混乱してきてます。


まだ良く理解できておりませんが、がむしゃらに100句作ります。

11 夏服や廃れた流行また戻る
12 古い靴去年も履いた日本製
13 帰省するふるさと淋し地震国
14 嬉しくも楽しくもある初写真
15 稲妻に恐れおののく子犬かな
16 稲妻の走る姿は乃の字かな
17 走馬燈ローソク消えて休むかな
18 鮎料理塩焼き一番風涼し
19 ダムの底見えねど祖父の物語
20 恩ぞ川周りの田畑満たしつつ


子規の句に対するXX先生の講釈がありました。

『 一群の鮎目を過ぎぬ水の色   正岡子規

一群の鮎がさっと泳ぎ去り、残ったのは水の色だけだった。

鮎が通り過ぎたことによって水の色を意識した、秋に虫の声が止むことで静寂が聞こえました、みたいな感覚でしょうか?

子規も俳句作りには写生が欠かせないとしていました。 』

写真を撮る場合でも、しっかり周りを見てから撮りなさい、と言ってるんでしょうね。

③ 21句目

21 いぬふぐり名前に似合わず人気あり
22 ラベンダー花にも二つ地獄耳
23 兄帰る車の後追う灯取虫
24 灯取虫金粉銀粉錬金術
25 マイカーのライト暗くし灯取虫
26 藤椅子やぎっくり腰の妻座る
27 藤の棚古希過ぎし人のごと
28 蟻の巣や北朝鮮の地下に似て
29 蟻の道山から裾へ続きけり
30 扇風機音静かでも風来ない

つまらない句も多くなりましたが、100句中1句でも良いのが有れば良いなと思ってやってます。 写真の場合と同じですね。

④ 31句目

31 積読書埃掃除に扇風機
32 蟋蟀や人工芝の中で鳴き
33 先細る心に出てくるちちろ虫
34 赤い羽挿せば元気で身も軽し
35 赤い羽根去年のものが有ったはず
36 赤い羽根峠過ぎてもまだ欲しい
37 稲刈りや雀集まる夕餉かな
38 田仕舞の煙が示す安堵感
39 今年米湯気と匂いで満ちたりる
40 世の中や案山子もしゃべるIC化

 

⑤ 41句目

41 補聴器の電池交換蝉しぐれ
42 蝉鳴くや探して遠く歩きけり
43 遠く見に麦の畑は黄金色
44 雉鳥を見れば思うや猿と犬
45 ごきぶりの出番に合わせ呼ばれけり
46 ふぐり草闇夜に降りし星屑か
47 みちのくの子らはみんなさくらんぼ
48 宮ケ瀬の観光放水赤トンボ
49 塩鮭を二人で分ける年の暮れ 
50 蜻蛉や水の中三年生まれて三日

 
 

⑥ 51句目

51 喜寿迎え歩く姿や日向ぼこ
52 買うものは今は無き日向ぼこ
53 古屋敷屋根の一八涼を呼び
54 みずすまし己の波紋越えられず
55 亀の子の泳ぎに合わせて子供追い
56 流星や願い事なぞありゃしない
57 小鴉や親見て己も黒と知る
58 青空へ高く消えゆく葵かな
59 小判草子供喜び持ち帰る
60 さくらんぼ一つ残りて目を合わせ

 
 

⑦ 61句目

61 さくらんぼ豪州産を一蹴し
62 目に青葉松シニア竹ヤング 
63 あまたある扇の一つ使いけり
64 吉日は古刹眠れぬ含羞草(おじぎそう)
65 銭亀や金のなる木と親戚か
66 流星や願望多く時間切れ
67 七夕の出し物我の知識問い
68 芙蓉の名思い出せずに写真帳
69 新学期ランドセル背負いて輝きぬ
70 新刊書ページ数える秋の夜

付き過ぎが多いようです。 思いつきが多いということでしょうね。

 

⑧ 71句目

71 放水やつばめも潜る虹の中
72 南天の花小さき庭に小鳥かな
73 コスモスに着せたや赤の十二単 (コスモス:秋、十二単:春)
74 冷麦の感触確かめ法事かな (法事は季語ではない)
75 白鷲や頭を垂れて和を願う (白鷺:夏)
76 身を捩り恋の季節やねじればな (ねじり花:夏)
77 すけすけの親父の頭夏薊  (薊=あざみ:春)
78 浜昼顔川辺の道に咲き誇り (浜昼顔:初夏)
79 形代に思いを乗せて小川行く (形代:晩夏)
80 アマリリス子供時代は唯のベロ (アマリリス:夏)

駄洒落っぽいのも増えました。 

 

 

⑨ 81句目

81 ホウタル来いどっちの水も危ないぞ
82 ルピナスや一列縦隊突き進む (ルピナス:夏)
83 もじばなの回る方向決めかねて (文字花:秋)
84 なめくじや忍者顔負け身を隠す (蛞蝓=なめくじ:夏)
85 なめくじや死んでも死んでも生きかへる
86 微睡みが悪夢に代わる夏の夜 
87 もじ花や恋の季節か身を捩じる 
88 星落ちて山の向こうは夏の夕 
89 忘却の中に落ち込む秋の暮れ
90 道行けばあれもこれもみなサルビア (サルビア:初秋)

 

⑩ 1oo句達成!

91 蛍狩りいつの間にやら水の中
92 蛍呼ぶ声聞こえるや園近し
93 見え隠れ蛍以外に子供達
94 蛍狩りさんさんごごに消えてゆく
95 蛍狩り団扇に竹におんぶ紐
96 落人も確か見たはずホタル狩り
97 数匹の蛍揺れなば多重撮り
98 川岸に囁きあうや夢蛍
99 風受けてふらり飛び行く蛍かな
100 蛍狩り幸せ感じる闇の中

これで四級は卒業です。 自称三級へと進むのですが・・・・


一か月にも満たない俳句講座でしたが、初期の目的は達したと思いますので、これで俳句講座は終了といたします。


来月からはカメラ関連の別プロジェクトを考えていますので、また楽しいことが学べるかとワクワクしております。

これからは、俳句については次のようなことを頭に入れて学んでいきたいと思います。

推敲の参考

・5-7-5になっているか?
・季語の季節は正しいか? 
・季語の重複はないか?
・季語と類語の重複は避けているか?
・複数動詞は無いか? 
・読みは正しいか? 
・切り字はよいか? 
・つまらぬ形容詞は無いか?
・繋がりは良いか? 
・旧仮名遣いは今は不使用
・付き過ぎないか? 
・離れすぎは無いか?
・当たり前すぎないか? 
・似た句を作っていないか? 

ではまた。

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